あずまんがファイズinミネルヴァの梟
【あずまんがファイズ】
【第二話 [裏切り-betray] 】

「え〜、神楽ちゃんを見つけられなかったんですかぁ〜?」

「これでも一生懸命さがしたんですよ、わたしたち」
「あいにく俺たちの能力は迷子を捜すための力じゃ無いんでね。大体、女一人探すくらいそこらの
人間にでもやらせればいいだろう」

あからさまに不機嫌な様子を隠そうともせず二人はスマートレディの言葉へと反論した。
一昨日にスマートブレイン社から逃走した神楽の行方の探索を頼まれていたわけだが、昨日今日
の捜索にもかかわらず、二人の網に神楽は結局かからなかった。
もっとも、地上の人間から見つからないほどの高度(日中ならば高度数百メートルと言ったところか)
を飛行できてなおかつ地上まで見通せる目を持っていても高々二人でこの人間でごった返す都心から
一人の女性を見つけるなど端から不可能に近いことなのだが。
たとえ、能力が上の中、といわれる能力を持つ彼らを持ってさえ。

「社長命令なんですから私に言わないでくださいよぅ・・・しょうがないですねぇ」
「ふん、まぁいい。じゃ、これで俺達は引き下がらせてもらう」

それだけ簡潔に伝えると、言うべきことは言った、とでも言わんばかりに、男は、そして引き続き女も、
踵を返してその部屋から退出した。
神楽をロストしたと言う、余り芳しくない報告を聞いたスマートレディもまた、口元に小さく不思議な笑みを
浮かべると彼らが出て行った扉と逆にある扉から退出するのだった。

「まぁ、どのみち家には帰れないでしょうし、今頃孤独をかみ締めていることでしょうねぇ♪」
と呟いて。

孤独、それは一人でいること、ではない。

一人、歩きなれた道を歩きながら神楽は、放っておけばどん底まで沈みそうな気分を持ち前の負け
ん気と不屈の精神力だけで何とか支えていた。
周りは窓の光があり漆黒とはいえぬものの、天空にはすでに闇の帳が下りている。
左手の腕時計を確認すれば、時刻は夜の十時。今日も明くる日も平日だけあり、流石に人通りも多くない。
もっとも、神楽にとっては明くる日が来ること事態が恨めしいのだが。

肉体的にも、精神的にもすでにガタが来ていることは自分でも分かっている。
自己評価ではもうすこし自分は頑丈で強い『人間』だとうぬぼれていたのだが。

家と呼ばれる場所にはすでに丸二日間帰っていない。一日目、スマートブレイン社から逃げたその日は、
スマートブレインからの追っ手を恐れ、カラオケボックスにて夜を過ごした。
そしてそれから今に至るまでの二日目と三日目の計一日半、およそ40時間は何度か仮眠を取るという手段で
休んでいるものの、ゆっくりとした休みはまったく取っていない。
幸いにも、ファイズとしてオルフェノクを倒すことによって、スマートブレインから危険手当とでも言うべき報酬が
僅かながら支給されていたため、財布の中の金はそれほど苦しくない。
といっても、外泊ばかり続けていてはほどなくして素寒貧になるだろうが。
もっとも、疲労困憊か神経衰弱で倒れるのが先かもしれないが。

二日目に一旦帰ってはみたものの、一人暮らしの宿先にはすでにあきらかに怪しい人間が張り込んでいた。
一応下宿先から電車で一時間ほど離れた実家のほうも言ってみたが、なぜかこちらのほうにはスマート
ブレインの回し者らしき人間はいなかった。

しかし、帰れない、家には。出られない、家族の前には。
自分があの時我を失って何をしていたのか、うっすらとではあるが思い出せる。
心のむくままの殺戮本能。制御できない破壊衝動。理解できない人外能力。
オルフェノクと呼ばれる人ならざる存在へと己の身が化した事も分かっている。

父を、母を、弟をもしそれに巻き込んで己の手によって失ってしまったら、自分は、本当に人間で
はいられなくなる。ファイズとして屠って来たあの怪物たちと同じ存在になる。

否、神楽が家へと帰れない理由は、そうではない。

拒否されるのが怖いのだ。

20年、共に暮らしてきた家族に、自分が否定されるのが。
一番身近な者たちに、己の存在意義を消される瞬間を迎えるのが。

もちろん、もしかしたら否定されないかもしれない。しかし、アレがばれたとき、家族は自分をそれまでと
同じように接してくれるのだろうか。

「無理、だよな・・・」

神楽自身、もし家族の一人が同じ事態に陥り、神楽の目の前で異形へと変身したとしよう。
神楽はその家族、父なり母なりとそれまでと同様に接することができるのか?
無理をすればあるいはできるかもしれない。しかし、まったく意識しないと言うのは絶対に無理だ。
そして、そのような関係をつづけることなど、互いにとっては苦痛以外の何者でもない。

「あぁ〜、これからどうしよう・・・」
弱音を吐くまい、そう思っていても涙が零れそうになる。気丈に振舞っていても神楽とて女性なのだ。
か弱い、という形容詞が先に付くかどうかはこの際別としても。

かのように一心に考え事をしていたからか、神楽の散漫になっていた注意力は前方の信号が赤になったことに
気付かなかった。そして、時速60キロで十トン近い質量を誇る大型トラックが、彼女の飛び込もうとしている交差点
へと迫っていたことも。

交差点へと足を踏み入れる神楽。そして、そのまま前方に気を配る前にさらに一歩を踏み出す。

キキィ―――――――ッ!
余りにも近くで聞こえたタイヤがきしむ音、そしてタイヤの焦げ付くような臭いに神楽が初めてゆっくりと
振り向く。
眼前目いっぱいに迫るトラック、網膜を焼きつかせる金色のライト。ライトの狭間からのぞくひどくあわてた
ような運転手の顔。そして、地響きのように揺れる体。

ほんの数ヶ月前の似たような状況を、走馬灯のように脳が思い出す。

一秒にも見たぬまに神楽の体は逃げるように反射的に後ろに動いていた。しかし、それをはるかに上回る
速度でトラックが神楽と接触する。
鈍い、しかし大きな衝撃。トラックの進行する妨げにすらならず、神楽の軽い体重が加速度を持って宙に浮く。
急ブレーキで減速したと言ってもその速度は時速40キロは軽く超えている。

数ヶ月前、MTBで走っていたときにトラックと起こした接触事故。
しかし、今度のそれは前回のとは比べ物にならないほど相手の速度も、その重量も違う。
神楽の体を避けきれなかったトラックに弾き飛ばされる衝撃を身に感じながら、神楽は空中に浮いていた
ほんのコンマ数秒の間に己の死を、悲しみと、そして一抹の安堵と共に噛み締めていた。

数トンの質量を誇る大型トラックは、停止した。神楽がいたところを軽く50メートル余り通り越して。
神楽が交差点へ飛び出したとき、トラックとの距離が20メートルと開いていなかったことを考えると、
適当な距離といえるだろう。

トラックの動きが停止するが早いか、己が何をしたか知ったのだろう、あわてて血相を変えたトラックの
運転席から運転手が飛び降りてくる。
あきらかに今の事故の過失は神楽にある、などといった問題ではない。
そのままひき逃げをしなかっただけ賢明とは言える。

しかし、彼はそこで目を見張ることになる。
たしかにぶつかり、弾き飛ばされたはずの少女が平然と起き上がったのだから。
否、こういったほうが適切だろう。確実に死んでいるはずの少女が、生きていたのだから。

「お、おぃ。大丈夫なのか?」
「あ、あぁ・・・」

震えと驚きを含んだその言葉に神楽は、正気づけるように小さく己の頭を振った。もちろん痛みはある。
ただ、怪我は無い。体のあちこちを見回してみても血は一滴たりとも流れていない。
ただ、戸惑いながらも、それは決して当然ではないことも分かっていた。

「ふぅ、よっぽど当たり所がよかったみたいだな。普通なら死んでるし、下手すりゃミンチになってても
おかしくないと思ったんだが」

依然厳しい表情を崩さないまでも、わずかに安心したような、それは運転手の口の中で紡がれた小さな
つぶやき。もちろん独り言以下の音量で、運転手自身ですら意識していない程度の声。
しかし、神楽の耳は、確かにそれを捉えていた。





『普通なら』

「わたしは・・・・・・」

「ま、いい。助手席に乗ってくれ。病院まであんたを連れていかなきゃな」
「・・・いらない」
「いらない、って、そういうわけにも行かないだろう。いくら平気そうでも、このままあんたに何かあったら―――」
「いらないって言ってんだろ!」

叩きつけるようにそういうと、神楽は荒々しく地を蹴った。
一秒でも早く、一瞬でも早くそこを逃げ出したかった。自分が普通ではないと言う現実を突きつけられたそこを。
認めたくない現実から目をそらすために。
もちろん、事故を起こしたはずの自分が、人間の出し得る世界記録をはるかに超える速度で走っていることには
決して気付くことも無く――――――神楽は10分以上全力で走り続けた。






「何でもできるはずなのに、実際は何もできない。
完全な身体の自由の中の完全な精神の束縛。それが、孤独」

暗闇の中、スマートブレインの社長室で、グラスを傾けながら村上はポツリとつぶやいた。

「人とは愚かな生き物だ。己より優れたものを認めようとせず、数に任せて押し潰そうとする。
しかし、三本のベルトが完成すれば、あと一年、いや、半年でこの世界はオルフェノクによって支
配されることになる」

その呟きに続く、息を吐くだけの小さな笑い。
しかし、その呟きと笑いはだれもきくことなく壁へと吸い込まれ、後にはただ静寂が残った。




あれだけの事故にもかかわらず、体に痛みは、ない。

周りに人がいる、それがこうも落ち着かないものだとは知らなかった。
いままでは、人の中にいることが、無意識のうちに安心へとつながっていたと言うのに。
自分が、その中にまぎれてしまうことのできる存在では、無くなってしまったから。

「どうなっちまうんだよ・・・」

ファイズとしてオルフェノクと呼ばれる存在と対峙していたときは、その存在のおぞましさを嫌悪していた。
人間を止めた存在として、怪物としてその存在に疑問すら抱かず、否、疑問を持つことを拒否し淡々と倒し
続けてきた。
しかし、それは裏を返せば、恐怖だったのかもしれない。オルフェノクと言う人外への存在への。
そして、無意識的に自分がそれになりつつあるという自覚から目をそらすための。
思えば、いくらでも己の異変とオルフェノクと呼ばれる存在を繋げるリングはあったのだ。
単に、自分が考えようとしなかっただけで。考え、気付くことから逃げていただけで。

あてども無く、ただ無心に町をぶらつく。足を動かす。単調作業の繰り返し。
ただ、歩くことで考えることを遮断したかった。
一刻たりとも同じ場所にとどまりたくなかった。
先のまったく見えない逃避行。後ろを悔やむことすらできぬ無謀な行進。

誰とも会いたくなかった・・・それなのに・・・・・・


「あれ?神楽、神楽よね?」

「黒沢先生・・・、」

会ってしまった、今、もっとも会いたくない人間の一人に。


「久しぶりに会ったと思ったら何辛気臭い顔してんのよ、あんたらしくもない」

高校時代、3年間いろいろな面で世話になった恩師の一人、黒沢みなも、そして、オマケとしてもう一人、

「あっれー、神楽じゃん、ひさしぶりぃー」

よくよく見れば黒沢みなもの肩に寄りかかっているのは谷崎ゆかりだ。もっともへべれけに泥酔していると言うか、
酩酊していると言うか。すでにつぶれているのは間違いない。呂律が回っているのを考えると、末期症状ではないらしいが。

「これからもう一軒行くし、神楽、あんたも付き合いなさい」
「え゛?」

思っても見ない申し出に、おもわず素っ頓狂な反応が漏れる。

「いょっしゃー!」
「どう?お金は私が持つし。つのる話もあるでしょ?」
「けってぇー、ゴーゴー」

やたらハイテンションで黒沢みなもの肩につかまりながら右腕を突き上げるゆかり、そのまま力尽きたか、
ぐてっとみなもの肩に寄りかかる。

「本気、ですか?」
「ええ、これからなにかはずせない用事でもあるの?」
「いえ、ないですけど・・・」
「じゃ、行きましょ。ひさしぶりに師弟水入らずでね。・・・・・・水泳部だけに」
「たしかに」

師の柄にも無いジョークに神楽はくすりと笑った。こういう冗談を言うらへん、すでにみなもも出来上がっているのかも知らない。

そのまま、済し崩すように神楽と教師二人はすぐ近くの居酒屋へと入っていった。
こうして恩師達と共に出かけるのは2年ぶりになるだろうか。
大学合格祝いに一度だけゆかりとみなもに、かおりんを除くちよ別荘メンバーで食事に連れて行って
もらったが、その時はまだ未成年だったのでおおっぴらにはアルコールはご法度だった。
もちろん、そんなことは微塵も気にせず、ちよ以外の全員は多かれ少なかれ飲んだが。

しかし、今は神楽も20歳。堂々と杯を酌み交わすことができる。
もっとも、神楽自身はビールやウィスキーがおいしいと思える域にはいまだ達していない。

店に入り、席につくなりゆかりはみなもへともたれ掛かり、寝息を立て始めた。
どうやら二人の行きつけの店らしく、二人とも店員達や店主ともある程度面識があるらしい。
さらにはとなりで飲んでいる男性たちとすら面識があるらしく、席に座り、目が合ったときに軽く
会釈してすらいた。

神楽も、頼んだアルコールや軽食を取りながら他愛無いことをかつての恩師と話していると、自然に気が緩み、
眠気に襲われたが、眠気をむりやりさらに飲食することで押さえ込んだ。
こうしてゆっくり話せる機会がこれからも来るとは限らないのだ。少しでも時間を無駄にはしたくない。
ただ、これが、今生の別れになる、とは考えたくなかった。

「生、二つ追加お願い」

時に比例して二人の前のジョッキが見る見るうちに空になっていく。そのたびにみなもが新しいのを注文していく。
すでに、二人とも5杯ほど飲んでいる。

「ビール、追加です」
「あ、ありがと」

五度目になる追加注文。みなものほうが店員が持ってくる側なので、神楽が手を伸ばすまでもなく追加
注文は店員から一度みなもの手にわたり、そこから神楽へと移動する。
店員の手の二つのジョッキ。まず一つをそのまま自分の前へと置くみなも。
そして、もう一つは体をひねり左手で受け取る。

そして、この瞬間、神楽の目にも、店員の目にも見えぬところで、この店に入ってから初めての、一つの
行動が起こされた。
みなもの掌の中から、みなもが先ほど神楽の目を盗んで用意した白い粉がさらさらとビールの中に落ち、
そして瞬く間に融ける。

もちろん、神楽がそれに気付くことは無かった、永遠に。
そして、何事もなかったかのように、みなもの手から神楽へとその粉が溶けたビールが手渡される。

「はい。嫌なことを忘れたいんならぐびっと行きなさい」

たしかにその内容を神楽が飲み干したのを確認し、みなもは目を伏せ、顔を背けた。

「あぁれぇ?」
瞬く間、神楽の呂律があやしくなり、頭がゆらゆらとし始める。
視界が曲がり、垂直がどちらの方向かわからなくなる。典型的な酔いの症状。ついでに、眠気。

「ちょっと飲みすぎたんじゃない。ちょっと休めばいいと思うわ」
「あいぃ」

みなもの優しい、子守唄にも似たその言葉に力なく頷くと、もう一度頭をかくんと揺らし、神楽はその場へと
突っ伏した。

神楽が倒れ、数秒。起き上がってくる気配が無いこと、及び寝息がリズム良く漏れていることを確認し、
みなもはため息と共に横にいる同僚、谷崎ゆかりの耳元へ囁いた。

「あ〜、ゆかり、神楽保護したわよ」

その言葉と共に、みなもにしな垂れかかっていたゆかりが目を開ける。
まるでその動きは先ほどのまでの酔いが演技だったかのように。
そして、それと呼応するように隣の席でがやがやとにぎわいながら飲んでいた男二人が腰を上げる。

「ごくろうさま」

みなもとゆかり、二人にスマートブレインのロゴの入ったゴールドカードを見せ、あきらかに先ほどまでの
口調と変わった態度で男二人が神楽の体を持ち上げる。

「で、神楽をどうする気?危害は加えないんでしょうね?」
「ああ。この娘は春日歩と同居することになる」

ぶっきら棒に、しかし、重要な一言だけ男は伝える。

「大阪のとこか・・・なら安全なわけね。にゃも、帰るわよ」
「ちょっと、ゆかり!」

非難するようなみなもの言葉に、ゆかりは「あんたの言いたいことは分かるけど」と呟き、しかし躊躇せず
言い放つ。

「必要以上は深入りしない。それが最初っから決まってたルールよ。たとえ、それがあんたの一番の
お気に入り、神楽のことであってもね」




「――――――――っ」
「目が覚めたみたいやな〜、神楽ちゃん、」

目をゆっくり開けるが早いか目の前に飛び込む灰白色の天井。
まずベッドの固さがいつもの己のベッドと違うことに違和感を覚え、そして、先ほど聞こえた声へと
思考と視線を向ける。

見慣れた顔。春日歩・大阪。
ひさしぶりに見るその顔、否、ほんの三日前に見たばかりか――――――
空転していた思考がようやくローギアへと入る。そして瞬く間でトップへと上り詰め、

「ここは、どこだ、大阪?」

最初にせざるを得ない質問を口にした。

「ここはわたしの家やで〜」
「お前の?」
「ごめん、嘘や。ちゃうねん、ここはスマートブレインの寮みたいなもんやな。今日から神楽ちゃんは
ここに住むんやー」
「へぇ、ここに、ってなんでそうなる!?そもそも、わたしは昨日・・・黒沢先生と飲んでて・・・」

そこまで言ってから神楽ははっとしたようにすぐそばの人物、大阪の襟首を掴んだ。

「黒沢先生は?先生たちは無事なのか?」
「く、くるしーでー」
「あ、わ、わりぃ」

あわてて離した襟首をただし、大阪は躊躇するように口をつぐんだ。

「どうしたんだよ、まさか・・・」
頭を回る最悪の想像。アルコールによって自我を失った自分が暴走し、恩師・黒沢みなもと谷崎ゆかりを
殺害、そのままスマートブレインによってとらえられた、という筋書きが瞬く間に頭に出来上がっていく。

「多分、神楽ちゃんが考えてるのとは違うと思うけどなー、あんまり神楽ちゃんにとっていい話やないと思うで」
「知っているなら・・・聞かせてくれ」

「簡単に言うと、神楽ちゃんは黒沢先生に裏切られたんや」
「・・・どういうことだ?」
「黒沢先生もゆかり先生も、スマートブレインの末端に位置する人間の一人、ゆーことらしいで。難しいことは
よーわからんけどな」

スマートブレイン。神楽を捉えようとしていた組織。敵。
あの、黒沢先生が、神楽を裏切り自分を売ったというのか・・・・・・

もし、それを告げたのが大阪、春日歩という少女でなければ、神楽は即一笑に付したことだろう。
しかし、それでもなお神楽は聞き返さずに入られなかった。

「本当、なのか・・・」
震える神楽の言葉に、歩はこくんと顎を上下させる。

「スマートブレインの根っこは広いで。多分、神楽ちゃんの想像以上に」

体から力が抜ける。また一つを失い、心が折れる。
そのまま神楽は呆然とベッドへと再び倒れこんだ。

「わたしは・・・どうすればいいんだ」
信じる者も、支えとなる者も亡き今、彼女に存在できる場所はない、否―――――――

「分かっとるやろ。神楽ちゃんが暮らしていけるのは、もうここしかないんや」

「・・・・・・・・・」

「―――――受け入れるんや、現実を」

そして、その日。
ファイズギアを含む三つのベルトすべてがスマートブレイン前社長の手によって奪い去られたことが
スマートブレイン社の上層部各位へと伝えられた。




Open your azu for the next Φ'z ------[ちよ-chiyo]

「ベルトの行き先は?」

「少なくとも二本はスマートブレイン会長の娘、美浜ちよへと送られたと思われます。
現在確認されている位置は、ファイズギア、ガンマギア共に沖縄。カイザギアは現在調査中です。
おそらく、そちらは前社長の手によって誰かに送られたと思われますが・・・・・・」

「そうですか・・・では、早々に取り返さねばなりませんね―――――我々のベルトを」


「お願い・・・うまく、行って・・・」

『COMPLETE!』

―――――戦わなければ生き残れない!

【あずまんがファイズ】
【第三話  [ちよ-chiyo]】

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