AzuΦ'z
【アズファイズ】
【第01話/ファイズ始動】

「智ちゃんこれ見てやー」
「ん?」

昼下がり、大学のキャンパス内ではまだ昼食時間いうこともあり木陰で2人の大学生が風
を涼んでいた。彼女達の名前は滝野智、春日歩(通称大阪)である。高校時代無理だと思
われていた大学に奇跡的に合格した彼女達はのんびり大学生活を送っていた。今日も今日
とてお昼ご飯を力一杯食べた智はいつもの木陰で大阪とぼーっとしていた。そんな時、智
に向かって大阪はどこかからファイズドライバーを取り出した。

「…何だよそれ?」
「何なんやろー…」
「いやお前が話を振ったんだろ」
「それもそうやな!」
「何で気合が入るんだよ?…貸して」

智は大阪の手にあるファイズドライバーを手にとって眺め始めた。メタリックカラーを主
体にしたファイズドライバーは高度な技術で作られていることが明らかだった。だが智は
そんなことにはまったく興味を示さず、只ひたすらそれの長さと太さに着目した。そして
ある1つの結論に辿り着いたのである。即ち智の父親が昔愛用していた冬の寒さに耐える
幻の

「腹巻じゃねーの?」
「そうなんやろーか?」

しかし大阪はそんな智の抜群の推理力から出された結論に不満そうだった。

「何だよその顔…わかったわかった。よみに聞くよ!」

言うが早いが智は携帯でよみにメールを送った。

「よみ明日遊ぼう!」

ピッ!…ピピッ!

「明日は無理だ」

しばらく携帯の画面を見つめる智。やれやれと言った溜息と共に大阪に今の心境を語った。

「よみもわからないってさ。どうするか大阪?」
「どないしよー…?」

今度は大阪が想像力に満ちた頭をフル回転させ始めた。

(…ちよちゃんなんてどうやろー)
「ち…」
「ちよちゃんはアメリカに行ってるから無理だな」
(何で智ちゃんわかったんやろー?そうや、榊ちゃんならきっとわかるでー)
「さ…」
「榊は遠いから駄目だな」
(うーん…そうや!神楽ちゃんや!)
「神楽ちゃんは?」

………
……


「で、何なんだよ用事って?」

次の日。せっかくの休日を智と大阪にメールで拝み倒された神楽はぶすっとした表情で智
と大阪に聞いた。神楽。高校時代水泳部として日々の鍛錬を毎日行っていた彼女はその抜
群の運動神経を活かして体育大学へと進学した。離れ離れとなった今でも智や大阪の気が
合う友人でありまた良き相談役でもあった。

「ほら大阪、昨日のあれは?」

大阪は再びファイズドライバーを下に置いてあったアタッシュケースから取り出した。

「じゃーん!」
「何だよそれ?」
「これは選ばれし何かや!」
「いや何かってのは見てわかるけどさ、だから何だよそれ?」
「私は腹巻だと思うんだけどさー、神楽はどう思う?」

智は自分の昨日の推理を神楽に話してみた。すると神楽はやれやれといった感じで肩を動
かすと智の推理を否定した。

「お前なー…ホンット、馬鹿だよな。これのどこが腹巻なんだよ。」
「そやー神楽ちゃんの言うとおりやでー」
「う…な、何だよ大阪まで一緒になって!ふーんだ!」

智としては珍しく本気で怒った。必死で考えた結論を一蹴されたのだから仕方ないだろう。
どうやらそれが本気で怒っていることに気がついた神楽は素直に謝った。

「わ、悪い智…」
「どうせ私は馬鹿ですよー」
「機嫌直せよ!な!…これはそーだなー」

智と大阪はじーっと期待を込めた眼差しで見つめながら神楽の答えを待った。

(…やっぱどう見ても腹巻だよな。でもそれを今言ったらまずいな…)

「…は、腹に巻くタ、タオル!」
『………』
「わりぃ…」
「お姉ちゃん達それの答えを知りたいんか?」
『!』

背後から突然話し掛けられた3人は驚いて振り向いた。そこにはラフな格好をした若い男
がファイズドライバーを指差しながら言葉を続けた。

「…付いて来な」
「お、おい待てよ!」

男は智の制止の言葉も聞かずそのまま喫茶店を颯爽と出て行った。

「追いかけるぞ智、大阪」
『おー!』

掛け声と共に喫茶店の地下にある駐車場へと消えていった男を3人は追いかけた。やがて
大阪が先程の男の背中を見つけ3人に知らせた。

「さっきの人やー。智ちゃん神楽ちゃんこっちー」
「…おいそこの男!早く教えろよ!」
「そーだそーだ!」

神楽の言葉に同調する智。そんな3人の言葉を背に男はくるりと振り返った。

「それはな、俺達の物なんだよ」
「俺達の?…どういう意味だろ神楽」
「さ、さあ?…ふ、2人とも見ろ」
「わー…タコ?」

男の顔に黒い紋章が浮かびあがりその姿が異形の者へと変わっていった。1人平然とそん
な男の様子を見ていた大阪の言葉にスティングフィッシュオルフェノク少しムキになって
反論した。

「魚だ!…お譲ちゃんそれを渡してもらおうか」
「やー!」
「なら力ずくでも貰っていく!」

言うが早いがスティングフィッシュオルフェノクは3人を睨みつけた。全身に伝わるプレ
ッシャーでさしもの智や大阪、それに神楽ですら一歩も動けなくなった。

(このまま何もわからずに持っていかれるんの?)

―そんなのはいやや!―

大阪は覚悟を決めるとアタッチケースを開きファイズドライバーを腹巻と言った智の言葉
を信じてウェストに装着した。

カシン!

続いてファイズフォンに大阪はケースの内側に書かれていた数字「555」を入力した。
ピ!ピ!ピ!

《standing by》

ヴゥゥゥン…!

ファイズフォンが「555」に反応して振動を始めた。大阪は本能に導かれるままファイ
ズフォンを持った腕を高く掲げるとあるキーワードを口にした。ファイズの力を引き出す
可能性への扉を開く言葉「変身」を。

「変身や!」
「馬鹿な!」

スティングフィッシュオルフェノクの驚異の声が地下駐車場を満たす。だが、ファイズフ
ォンは

《error》

という音と同時にファイズドライバーが大阪から強制解除され、神楽へと吹き飛んだ。

「ったく驚かすな!」

大阪へと向かっていた足を今度は神楽に向けるスティングフィッシュオルフェノク。刻々と
近づいてくるに彼を見てついに智は理性の限界に到達し本能が爆発した。つまりぶち切れた。

「きえーー!!」

智の大声に一瞬びくっとするフィッシュオルフェノク。その隙を逃さず智は神楽へと走りよ
ると大阪の動きを真似した。

「お、おい何すんだよ智!」
「やかましい!」

有無を言わさない智の口調に再び黙る神楽。やがて智はファイズドライバーを神楽に装着さ
せ、ファイズフォンにコード「555」を入力し神楽に渡すと一喝した。

《standing by》

「あいつと戦え!」
「私かよ!ったく…変身!」

天高く掲げられるファイズフォン。神楽はそれをファイズドライバーに装着した。その瞬間、
その場に居た全員が固唾を飲んでファイズドライバーの判定を待った。エラーかそれとも…
そしてその判定が出た。

《complete》

神楽の身体が赤外線より強く暖かい光で覆われていく。あまりの眩しさに大阪も智もスティ
ングフィッシュオルフェノクも目を手で覆った…光が消え3人が再び目を開けた時。神楽は
紅き閃光ファイズの力をその身に宿していた。

『!!』
「へぇ…何だこりゃ?でも強そうだな!」

ファイズのボディーからは新たなマスターを得た喜びからか灼熱のオーラが放出していた。

「く、くっそおおお!!」

スティングフィッシュオルフェノクは覚悟を決めた。ここでファイズドライバーの回収に失
敗したら組織に消されることが目に見えていたからだ。

「おらぁ!!」

スティングフィッシュオルフェノクは今こそその実力を発揮した。空中に浮かび上がるった
彼はまるで海の中を自由に飛び回る魚のように地下駐車場を飛びまわった。但しその速度は
魚とは比べ物に為らない程高速であり、現にフィッシュオルフェノクのぶつかったコンクリ
ートは激しい音と共にあっけなく砕け散った。

「うおおおおお!!」

ファイズに飛び込むスティングフィッシュオルフェノク。だが彼は知らなかった。ファイズ
の力がどれまでのものなのかを。

―見える!あいつの動きが!―

神楽の視界からはスティングフィッシュオルフェノクの動きは海で泳ぐ魚と変わらなかった。
徐々に近づいてくるスティングフィッシュオルフェノクを迎え撃つ為に神楽は拳にファイズ
の力を集中させた。

拳に紅き閃光を宿すファイズ。対するは高速で突撃してくるスティングフィッシュオルフェノク。

バキィ!

勝負は一瞬だった。

神楽とスティングフィッシュオルフェノクは智と大阪の視点からでは激突したようにしか見
えなかった。しかし実際は神楽の胸部へと飛び込んできたスティングフィッシュオルフェノ
クの頭部に神楽は正拳突きを行い軌道を僅かに逸らした。そして

ドォン!

フィッシュオルフェノクはコンクリートに頭から激突し動かなくなった。やがてその姿が人
間の姿に戻り灰と化して消え去った。

「やったぜ!」
「神楽お前すっげーな!」
「神楽ちゃんすごいでー」

2人の惜しみない賞賛を浴びながら神楽はファイズフォンを外してファイズの力を解除した。
彼女達はまだ知らない。今日の戦いでこれから始まる人類対オルフェノクの戦いに巻き込ま
れていくことに…

【Open your eyes for the next AzuΦ's】

白いベットに寝かされていた女性がゆっくりとまぶたを開いた。
「美浜総合病院地下病棟です…コードナンバー04、榊が目覚めました」
「かおりん…」
「…今ここで私と戦いますか?」

【アズファイズ】
【第02話/目覚めの夜】

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