あずまんがー龍騎!
【あずまんがー龍騎!】
【第19話 : 軍団】

「・・・榊さーん・・・えへへー」
デッキを受け渡された一人でもある、かおりことかおりんは何か楽し
い夢でも見ているのか、とても幸せそうに眠っていた。そんなかおり
んの横で目覚し時計はひたすら時を知らせる為に鳴り続けていた。

「ジリリリリリリ!」
「もー・・・うるさーい!」

むくっと起き上がったかおりんは手を伸ばして目覚し時計のスイッチ
を切り、再び眠り始めた。それを見越していたかのように扉が開けら
れ、かおりんの母親が入ってきた。

「学校の時間よ!早く起きなさーい!」
「・・・学校?もう卒業したよ?」
「あんたねーそんなこといってると、遅刻するわよ!」
「え?・・・ん?あー!ちょっとお母さんなんで起こしてくれなかっ
 たの!遅刻しちゃうー!!」

呆れ顔の母親を余所に急いで準備をして、かおりんは脱兎のごとく家
から飛び出した。

(もーこれじゃあ間に合わないよーうう。)
キィィィン・・・キィィィン・・・
(・・・何これ!?頭が痛い)
「だ、誰か助けてくれー!!」

かおりんは突然頭に共鳴してきた音と悲鳴に驚いて思わず立ち止まっ
た。周囲を見回すと昨夜の雨のせいで出来た水溜りから、出現した白
色のモンスター、ネガゼールが中年の男性をその中に引きずり込もう
としていた。

「ダメ!!」

ネガゼールに体当たりするかおりん。ミラーワールドに連れ込むこと
に失敗したネガゼールは悔しそうな声を残しながら急いで水溜りの中
へと姿を消した。

「大丈夫ですか・・・?」
「あ、ああ。」
「早く逃げてください!」
「君は・・・?」
「私は大丈夫です!」

かおりんの強い姿勢に圧倒されながらその男性は急いでその場から離
れていった。

(どうせ1時限目に間に合わないんだったら今のモンスターを追いか
 けよう。それに・・・榊さんだったら絶対追いかけるし!えへへー)

水溜りへと足を近づけるかおりん。しかし何も起きなかった。

(モンスターは入れたのに何で?・・・あ、そうだ確かカードデッキ
 を使うんだったわね。デッキデッキと。・・・あった!)

かおりんはカバンから渡されたカードデッキを取り出し、水溜りへと
反射させた。すると予想通り、デッキベルトが装着された。

(やっぱり!ってことは変身かぁー。少し恥ずかしいんだよねー。あれ)
「へ、変身!」

ライダースーツを身に纏い、かおりんが再び水溜りへと足を踏み入れ
た時、急速にどこかへと吸い込まれ、気がついたときは再び、現実の
世界を反転させた世界、ミラーワールドに辿り着いたのであった。

(あれ?戻ってる?それにあのモンスターはどこに行ったんだろ?)

そんな疑問を胸にきょろきょろと辺りを見回すかおりん。

(あ、いたいた!)
「こら!人を襲ったりしちゃダメでしょ!・・・げ、いっぱいいるんだ・・・」

思わず躊躇するかおりん。ネガゼールの後方にはネガゼールと似た姿
の様々な色彩をしているモンスターの集団、ゼール軍団がいたのだ。

「・・・榊さーん助けてー!」

思わずこの場にいない、己の憧れの女性、榊に助けを求めるかおりん。
しかし、助けが来る訳も無く、じりじりと四方八方を囲まれ、今にで
も襲い掛かってきそうなゼール軍団にかおりんは体をこわばらせた。

(どうしたらいいんだろ?そ、そうだ!カードカード。わわ。取れない)

デッキから何とかカードを1枚取り出すかおりん。そのカードは契約
のカードだった。途端に今までの勢いが嘘のように去り、かおりんは
ゼール軍団に何か異変が起きていることに気付いた。

「あ、あれ?・・・きゃ!」

その時ゼール軍団の中から一匹のゼールがかおりんの前に飛び出して
きた。その姿は他のゼール軍団と殆ど同じ姿をしていたが、唯一その
手に、鋏状の刃を持っていた。

(あなたもライダーなんですか・・・?)

そのかおりんの前に飛び出してきたモンスター、メガゼールから心へ
と直接問い掛けられ驚くかおりん。

「ひゃ、ひゃい。そうですよ?!」

かおりんの答えにしばし考えるメガゼール。そして次の瞬間かおりん
に驚くべき提案を出していた。

(・・・どうです?私達と契約しませんか?こう見えても私達は強い
 ですからこれから先のライダーの戦いできっとお役に立ちますよ。)
「へ?契約?・・・どうやるんだっけ?」
(その手に持っているカードを私に接触させてください)

ゼール軍団に円状に囲まれながら、ネガゼールに恐る恐る近づくかお
りん。そしてネガゼールが差し出した手のひらにそっと契約のカード
を渡した。

(・・・契約完了。これから私、ネガゼールはあなたの契約モンスタ
 ーです。マスター)
「マ、マスター?私が・・・えへへ何か照れちゃうなー。そーだ!か
 おりんでいいよ」

(そうですか・・・それではかおりん、あなたは私のマスターであると
 同時に私を通して後ろのゼール軍団に指示が出せます。契約は魂を定
 期的に私に提供することで更新されます。・・・かおりんご命令を)
「命令?えーっと・・・」
(めがぜーる・・・ぶろばじぇるガ近ヅイテイル・・・)

かおりんが何を言おうか考えていた時、ゼール軍団の一員でもあるオメ
ガゼールがメガゼールに自身から淡い光を発光させているクラゲのモン
スター、ブロバジェルが近づいていることを知らせた。

(かおりん、モンスターが近づいています。)
「え?そ、そうなの?やっつけて欲しいなあ・・・」
(了解。かおりん、カードをカードバイザーに装填してください。)
「カードバイザー?」
(カードの効果を発動させるもので、あなたの足に取り付けてあるもの
 です。)
「これのこと?」

かおりんは足に取り付けてあるガゼルバイザーに視線を向けた。

(そうです。かおりん、カードを通して私達に命令できます。さあ急いで!)
「うん」

《ファイナルベント》

ゼール軍団が地響きを起こしながらブロバジェルを取り囲み始めた。

「ギ!ギ!ギ!ギ!ギ!・・・」

ゼール達は跳躍しながらそれぞれの得意とする攻撃をブロバジェルに行い
少しずつダメージを蓄積させ始めた。

「すごーい!!」
(かおりん、あなたが最後のとどめを行ってください)
「え、そうなの?・・・でもどうやって?」
(波長を合わせて私達の声を心で聞いてください・・・)
「波長・・・?」

かおりんは目を閉じた。

(どらいぶでぃばいだー・・・)

かおりんの心にゼール軍団の動きと声、そして己のすべき動きのイメー
ジが浮かびあがった。

「え、えっと、ドライブディバイダー?」

それに気づいた時、かおりんの身体は自然に動いた。跳躍して一気にブ
ロバジェルに接近したかおりんはブロバジェルの前に着地すると、脚に
宿ったファイナルベントのエネルギーを飛び膝蹴りで一気に叩き込んだ。

「えい!」
「!!」

声にならない叫びを残し、ブロバジェルは爆発した。

「やったー!!」

かおりんは己の新たな力、インペラーの力にはしゃいだ。ゼール軍団は
そんなかおりんの喜びを感じとり、いつまでも跳ね回っていた。

【次回予告】

「変身!やー」
「もーなんやっちゅうねん!」
「どーしたんだよ大阪?お腹でも痛いのか?」
「こらー!逃げるなー!」

【生き残らなければ真実も見えない。ライダーよ、生き残るために戦え!】

【あずまんがー龍騎!】
【第20話 : 苦戦】

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