仮面ライダー
【MKAS】
【筑波洋 スカイライダー】

 筑波洋は改造人間である。彼を改造したネオショッカーは世界征服をたくらむ悪の組織で
 ある。仮面ライダー筑波洋は人間の自由と平和のため、悪と戦いつづけるのだ。筑波洋は
 奇跡の生還を果たし、日本をスーパーライダー、スーパー1にまかせ、自分は他の先輩ラ
 イダー同様に世界に巣くう悪の組織と戦う事を誓った。

 アメリカのある田舎町で、洋は本郷猛と合流していた。彼等は以外に面識が少なく、ゆっく
 りと話をする事は少なかった。
「本郷さん、御久しぶりです。」
 洋は空港に出迎えに来ていた本郷にぺコリと頭を下げた。
「ああ、ネオショッカー大首領との決戦時以来だな。」
「スーパー1は今でもがんばってドグマと戦っているらしいですよ。」
「そうか、彼には酷だが、今度の敵は彼に任せ、俺達は今だ世界各地に残るネオショッ
   カー残党を倒さなければな。」
 しばらくして8人ライダーはスーパー1の救援に向かう事となるが、それは少し後のことである。

 二人は空港をあとにして、本郷が寝止まりをしている家までバイクを走らせた。
「アメリカのネオショッカーの情勢はどうなんですか?」
 洋が信号待ちをしている時に本郷に話しかけた。信号は青にかわったが、本郷はかまわず
 質問に答えた。
「ニューヨークやロサンゼルス等にあった基地はつぶしたが、各地にまだ小、中規模の
   基地がいくつか残っている。」
 そうこうしているうちに本郷の家につき、洋は荷物を部屋に置いたあと、リビングの少し大きめ
 のソファーに座った。本郷はコーヒーを洋に手渡し、アメリカの地図を見せた。

「こことここが主要基地だったが、俺がつぶした。あとはこの小さく×がついているところが
   奴等の基地だ。」
「そうですか、なら早い方がいい、ここが近いポイントですね。いきましょう。」
 洋はコーヒーを飲み干し、二人は外に出ていった。目指すはネオショッカーの基地。二人が
 ネオショッカーの基地の近くに到着した頃には、あたりはもう夕刻となっていた。
「よし、ここから二手に分かれて行動しよう。俺は右の道から川沿いに進む。」
「わかりました。」
 洋が進んだ道は、軽く舗装されていて、人の通りもそれなりにあった。洋はもうすっかり暗くなっ
 た道をバイクのライトだけを頼りに進んで行った。すると一つ看板を見つけた。

「?ここから先…遭難者多し、注意して進め…か。」
 洋はバイクをその場に止めて、歩いて林の中を進んで行った。そこから先は舗装がほとんど
 されておらず、洋は草をかき分けながらゆっくりと進んで行った。だが、突然上から網が落ちて
 きて、洋はよけきれずに絡まってしまった。
「ぐぅ!誰だ!?」
 洋が上を見上げるとアリコマンド3人が降りてきた。
「筑波洋だな!?大首領の仇はとる!基地までつれて帰れ!」
 洋は強固な手錠をつけられ、ネオショッカーの基地までつれて行かれた。だが、密かに本
 郷がそれを目撃していた。本郷が進んだ道は途中からなくなり、仕方なくコンパスをたより
 に進んでいると、運良く洋をみつけたが、声をかけようとした時に洋が捕まったので影からそ
 の様子を見張っていた。
「洋にはわるいが、やつらの基地をみつけるまでは捕まっていてもらうか。」

 本郷は息を殺し、物音をたてないようにして後を追った。
(大丈夫だ…洋はもう立派な仮面ライダーだ。俺に勝るとも劣らない男になった…)
 本郷は、筑波洋を、スカイライダーを信頼していた。8人ライダーによる特訓の事もあるのだ
 が、両親の死を受け入れ、自分達7人ライダーとともに大首領を追いやった頼れる仲間を信
 じ、その場はおとなしく身を潜めていたのであった。
「誰も見ていないだろうな?」
 1人のアリコマンドが付近を見渡すが、草むらに隠れていた本郷には気付かなかった。アリコ
 マンド達はそのまま洋を連れて基地へと帰還していくのであった。
(俺が捕まっても、本郷さんがいる。俺が死んでも、仮面ライダー1号が必ず奴等を倒す!)
 洋もまた、先輩である本郷という人物を信頼していたのであった。
 やがて、アリコマンド達は、大きな木の前で立ち止まった。

(他の進入を路探すか…?)
 本郷がそんな事を考えていた時だった。少し遠い場所から…恐らく1km程後ろから、男性の
 ものと思われる悲鳴と、アリコマンド達の叫ぶ声が聞こえてきたのだ。
「よし!チャンスがつかめるかもしれないぞ!」
 本郷は急いで悲鳴が聞こえた先へと走って行ったのであった。
「うわあああ!?なんだお前達は!?」
「とらえろ!我々の仲間として改造する!」
 1人の、二十歳前後の男性が、アリコマンド10人に囲まれ、絶体絶命のピンチにたたされ
 ていたのだった。アリコマンド達はジリジリと男に詰めより、男は後がなくなる。

「うわああ!?」
 男が両手で顔を覆うようにして悲鳴をあげた瞬間だった。突如として、何者かがそこへ現わ
 れ、男の後ろから迫っていたアリコマンド一人の後頭部を殴って気絶させたのであった。
「しっかりしろ!」
「あ…あなたは?」
「俺がこいつらをひきつける!早く逃げるんだ!いいな!」
 本郷は前方にいたアリコマンド1人に跳び蹴りを食らわせ、アリコマンド達の注意をひきつけ
 る。その隙に、男は本郷に言われたとおりに、一目散に逃げ出して行ったのだった。
(よし、あとは…)

 本郷は次々とアリコマンドを殴り倒し、ついに残すところあと一人となった。アリコマンドは、
 近くに落ちていた硬めの枝を拾って、本郷に殴りかかってきたが、本郷はそれをサラリと避
 け、回り込んで羽交い締めにした。
「言え!お前達の進入ルートは、この先の大木の他にどこにある!?」
 相手を殺さないギリギリの力で首を絞めながら、アリコマンドにきつく尋ねる本郷。
「わ…我々アリコマンドにはわからん……グぇ!?」
「!?」
 突然アリコマンドが悲鳴をあげたので、本郷は慌てて手をはなし、アリコマンドを突飛ばした。
 すると、そのアリコマンドは、旨にナイフを刺されていたのだ。アリコマンドは一瞬発光して、
 消え去った。

「…口封じか。気配もない、逃げたな……だが、まだ打つ手はある。」
 本郷は、倒れていたアリコマンドの1人の服と覆面を脱がし、自らの体に羽織った。そしてそ
 の男の胸についていたNOプレートの番号を確認し、大木へと向かったのであった。
「番号と用件を言え。」
「NO103、邪魔者が現われた。幹部に報告したい。」
「…了解した。扉を開く。」
 はたして、地面に扉が現われ、本郷はその扉を開けて中へと進入したのであった。中は蝋
 燭で明かりをつけていたので、暗くじめじめした環境が、その場を一層不気味にして思わせ
 たのであった。
(まずは捕まっている人達を助け出さねば…)

 キョロキョロ辺りを見回していた本郷だったが、やがて巡回していたアリコマンド2名とでくわ
 した。
「おい、なにをキョロキョロしている?」
「… 捕虜のいる牢獄へ行こうと思っていましたが、あいにくと道を忘れてしまって。」
「おいおい、しっかりしろよ?牢獄はあっちだろ?」
 アリコマンドは、右側の通路を指差した。
「どうも。」
 本郷はアリコマンドが指差した方向へと向かったのであった。

「気分はどうだ?筑波洋!」
 イーグルジンが声をかける。
 洋は司令室へと連れてこられたのであった。改造人間用の特殊な手錠により、変身する事
 もできず、ただ無抵抗なまま、連れてこられてしまったのである。
「人質はどうした?」
「安心しろ。奴等に手荒な真似はしない。すぐれたものは改造し、そうでないもの
        は労働力として確保する。」
 司令室には、2体の怪人がいた。イーグルジンと、スネークジンである。
「そう…そしてやがては、ネオショッカーは力を取り戻し、ドグマを倒して、世界を
        征服するのだ!」
「そんな事…させるかあ!」

 洋は手錠に繋がれたままスネークジンに体当たりをした。が、逆に強靭な鱗によって跳ね返
 され、バランスを保てずに地面に倒れこんだのだった。
「ふん!今の自分の状況をよく考えるんだな!」
 そう言ってスネークジンは、洋の腹を三発蹴り飛ばす。洋は血を少し吐き出して気絶した。
「連れて行け!脳改造して我々の手駒として使ってやる!」
 洋はアリコマンド達に連れられて行ってしまった。
 それから間もなくの事であった。基地全体に警報が鳴り響き、緊急放送が基地全区域に放
 送されたのであった。
「緊急!緊急!アリコマンドに変装していた本郷猛が人質を解放した!ただちにこれを阻止
 せよ!繰り返す…」

洋は、深い地下にある牢獄の中、脳改造が行われるのを待たされていたのだが、その放送
 を聞いてニッコリと微笑んだ。
「やっぱり…さすが本郷さんだ…」
 だが、自分はどうする事もできなかった。両手は手錠で固定され、身動き一つできないのだ。
 今、洋は貼り付けのような状態になっている。
(大丈夫…俺がいなくても…7人ライダーと…スーパー1が必ず世界を守ってくれる。)
 一方、人質を解放する事に成功した本郷は、必死に洋を探していたのであった。
「くそ!何処にいるんだ洋!?」
「知りたいか?」
 十字路を見渡して迷っていた本郷の目の前に、スネークジンが現われたのだった。

「本郷猛…ここで貴様も終わりだ!」
「待て!その前に洋の居場所を白状するんだ!」
「俺を倒してからじっくりと探せ。デヤアー!」
 スネークジンは薙刀を振りまわしながら本郷に襲い掛かる。本郷は必死に身を低く、あるい
 は跳躍してその攻撃をかわし、スネークジンが持っていた薙刀を掴んだ。
「があ!」
 だが、腹を蹴られ、一瞬手の力が緩んだところで一気に引っ張られ、スネークジンは構え
 直し、少し距離をおいたのであった。
「…よし、いくぞお!ライダー……変身!」
 右腕を向かって左斜め上に伸ばして時計回りに回し、、右斜め上で右腕を腰にあて、左腕
 を右斜め上に伸ばした。タイフーンが回転し、風を吸収して彼に力を与えたのだ。

「貴様が…仮面ライダーか?」
「そう…俺が仮面ライダー1号だ!トオ!」
 1号はスネークジンに一瞬で詰めより、首の付け根の辺りにチョップを放った。ふらつくスネ
 ークジンに、追い討ちをかけるようにパンチを連続で放つ1号。
「トオ!トオオ!」
 右、左と、順々にパンチを繰り出し、更にハイキックで頭を蹴ってスネークジンを転倒させ
 たのであった。
「いくぞ!ライダー…」
「くっ!」
 スネークジンは口から毒ガスを吐き出し、一瞬1号の動きを鈍らせた。その隙をついてその
 通路を走って通り抜けて行ったのであった。

「くっ!早く洋を助け出さねば!」
 1号は、真紅のマフラーをなびかせながら、大切な仲間を助ける為に基地中を走り回るの
 であった。
「…騒がしいな?」
 洋の耳にも、アリコマンド達の声が聞こえてきていた。そしてその声は束となって、こちら側
 へと近づいてくるのであった。
「?」
 そして、何者かの足音が洋が捕まっている部屋の前で止まり、やがて大きな声が聞こえたの
 であった。
「ライダーパンチ!」
 壁をブチ破って現われたのは、銀のグローブをはめた勇者、仮面ライダー1号であった。

「1号!」
「とお!」
 1号は洋の腕についていた鎖をひきちぎり、洋はやっと両手を解放されたのであった。
「すまない!」
「ああ。それよりも早く奴等を倒すぞ!」
 怪人達は、外へとでて2人を待ち構えていたのであった。
「来たか、仮面ライダー!」
 洋と1号は、出口からでてすぐにアリコマンドに囲まれた。1号はその群れをかきわけながら
 スネークジンへと向かっていった。

「お前達は人間の敵だ!許さん!スカァイ…」
 洋は右手を前に出し、後、すかさず右手を戻して左手を前に出し、左手を反時計回りに大
 きく回転、手を左斜め上でとめた。
「変身!」
 すかさず左手を腰に戻し、右手を左斜め上に伸ばし、トルネードで風を吸収し、変身したの
 だった。
「いくぞ!とお!」
 スカイライダーはパンチ、キックでアリコマンドをなぎ倒しながら、1人戦いを観戦しているイ
 ーグルジンに向かって跳び蹴りを放つものの、イーグルジンは翼を羽ばたかせて舞い上がっ
 たのだった。
「スカイライダー!貴様に俺が倒せるものか!」
「いくぞ!セイリングジャンプ!」
 スカイライダーは腰につくている重力低減装置を作動させ、大空高く舞いあがったのであった。

「お前には負けん!いくぞ!」
 スカイライダーは滑空するようにイーグルジンへとパンチを放つが、イーグルジンは軽くその
 攻撃を避けて、腰にさげてあるナイフを投げつけて攻撃する。
「そんなもの!」
 が、スカイライダーも難なくその攻撃をかわす。
「ならば…イーグルブリザード!」
 イーグルジンは口から、絶対零度の冷気を吐き出し、スカイライダーを攻撃する。さすがにこ
 れだけの冷気があたれば、仮面ライダーといえども危険である。

「うおおお!」
「むうう!?」
「ライダースライディングキック!」
 1号は、滑りこむようにしてスネークジンの足に攻撃、足払いされたスネークジンは前に倒れ
 こむが、1号は滑ったままスネークジンの手足を掴み、勢い良く跳び起きたのであった。
「ライダーきりもみシュート!」
 凄まじい嵐を巻き起こしながら、1号はスネーク人ジンを頭上で回転させた。
「うおおお!」
 スカイライダーは1号と同じようにイーグルジンの両手両足をつかみ、逆さまになって、回転
 させたのだった。
「ライダーきりもみ落とし!」
「ぐ!?」

 1号は空高くスネークジンを放り投げ、スカイライダーは勢い良くイーグルジンを地面めがけ
 てぶん投げたのであった。
「ぐわあ!?」
「ぎい!?」
 2体の怪人は空中でぶつかりあい、そのまま落下して行った。
「やるぞ洋!」
「わかった!1号!」
 1号は跳びあがり、スカイライダーは勢い良く舞い降りて行った。
(やれる…一文字と、同等、あるいはそれ以上に…)
(本郷さん…俺は…仲間を信じます!)
 2人の心が通い合い、互いに気持ちも高まる。そして神経を足を先に集中させ、2人の戦士
 が風を斬り裂きキックを放つ。

「ライダーキック!」
「スカアアイ!キィィック!」
 2人の心と体が一つとなって、邪悪な悪を打ち砕く。1号の銀色の足と、スカイライダーの黒
 い足が、それぞれスネークジン、イーグルジンの体に炸裂、2体の怪人は火の玉となって爆
 発していったのだった。

「そうか、南米に行くのか。」
「はい、あそこは元々ショッカーの基地が多かった場所ですから。」
「ああ、しっかり頼むぞ。」
 こうして洋は南米へと飛び立った。だが、彼等は離れていても決して1人ではない。この青い
 空の下、果てしなく続くこの空の下で、きっと心は通じ合っている。そう洋は思ったのだった。
 筑波洋は改造人間である。肉親の死という悲しみに心を苦しませながらも、身を犠牲にして
 悪と戦い続ける。この大空の下で、彼は戦いつづけるのだ。
 負けるな筑波洋!翔べ!スカイライダー!大空高く…!

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【沖一也 仮面ライダースーパー1】

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