仮面ライダー
【MKAS】
【風見志郎 仮面ライダーV3 〜2〜】

 地球へと進攻を開始したクライシス帝国。彼等は日本を中心的に襲いかかっていたが、勿
 論他の国々へも兵を派遣していたのであった。影から人々を脅かすクライシス。だが、それ
 を阻止せんとする10人の戦士達がいた。すなわち、仮面ライダー1号、2号、ライダーマン、
 X、アマゾン、ストロンガー、スカイライダー、スーパー1、ZX、そして…仮面ライダーV3。

 機械的な足音を響かせながら、4大隊長達の前に現れる金色の顔の将軍。威風堂々とした
 その姿は、彼等にとっては頼もしいものを、人類にとっては恐怖を感じさせるものであった。
「マリバロン、ボスガン、ガテゾーン、ゲドリアン、またしても…RXにしてやられたようだな?」
「御待ち下さいジャーク将軍!」
 参謀役でもあり、4大隊長唯一の女性幹部であるマリバロンがジャーク将軍の言葉をさえぎ
 る。

「なんだマリバロン?いい訳なら聞かんぞ?」
「我々が作戦を失敗しつづけるのは、憎きRXがいる為です。」
 そんな事はジャーク将軍も100も承知している。今更そんな事を言って言い訳をするつもり
 か?とも思ったが、マリバロンが更に言葉を続けたので、それを黙って聞く。
「私は、エジプトに我々の基地を建造する事を提案します。」
「何?エジプトだと?」
 ヘルメットをかぶったような顔をしているガテゾーンが、マリバロンの言葉に驚く。そんな辺境
 の地を占領しても、得る物はあまりないだろう。
「確かにエジプトは気候条件も厳しい…ですが、地下なら、適度な環境を作る事が
      可能です。」
 緑の服を着た幹部、ボスガンが、納得したようにマリバロンに言った。
「そうだな、それにRXもエジプトまでは来れないだろう。」

「うむ、奴を日本に釘づけにしておけば作戦は必ず成功するであろう。」
「既に日本での新たな作戦は展開中です!」
 奇妙な動きをしながら、ジャーク将軍の周りでそう言うゲドリアン。2面作戦…これならいける
 だろうと踏んだジャーク将軍は、ガテゾーンとマリバロンの兵を使い、エジプトへと向かわせ
 たのであった。

 風見志郎は、第2の故郷となったエジプトで平和に暮らしていたのであった。今ではあの頃
 の戦いが遠い昔の出来事に思えるようにもなった。
(父さん…母さん…雪子…世界は平和になったぜ…)
 風見は街のはずれに座りながらそんな事を思う。辛かった戦いの日々も、過ぎ去った思い
 出でしかないのだ。だが、彼の人生の戦いに終わりはない。行方不明になった人を救ったり、
 犯罪者を捕まえたりと、まだまだ忙しい日々が続いていた。
 翌日、彼はいつものように砂漠へと向かう。バイクのタイヤが砂に埋もれないように、自分で
 軽く改造を施したので、砂漠でも自由にマシンを走らせる事が出来るのだ。当てもなく、ただ
 旅を続ける風見志郎。
「…?なんだあれは?」
 風見は怪しい集団が、機械を使って何か作業を行っているのを見つけ、マシンをとめて、ゆっ
 くりと足音を立てないように近づいて行った。

「急げ!急いで完成させるのだ!」
 そこにいたのは、機械で出来た生命体が、戦闘員のような物達に命令を下し、戦闘員達が
 機械を使って、砂漠に大きな穴を開けている場面であった。
「よ〜し…あとは壁を作って一つ目のフロアは完成だな。」
 まずは大きく穴を開け、最初に中枢部分を作ったあとに、そこを広げて行く作業を行ってい
 たドリルガーンであったが、いかんせん地面が砂では作業が難航していたのであった。
(まさか…新しい組織の怪人か…?一体何をしてるんだ?)
 風見はしばらく、その作業を見続けていた。
(そうか…恐らく地下基地を建造しようとしているようだな…だが、そうはさせん!)
 風見は勢い良く飛び出て、チャップの1人を殴り倒したのであった。第2の故郷に、勝手に
 地下施設を造られる訳にはいかない。せっかく平和になったこの世界を、再び悪の手で乱
 す訳にはいかない。

「誰だ貴様!?」
「俺の名を知らないとは…お前等も大した事はないな。」
 ふてぶてしく、そして堂々とした態度で怪人達にそう言ってのける風見志郎。幾多の戦いを
 潜り抜けてきた彼は、この程度の状況では慌てない。むしろ余裕すら感じさせるような態度
 であった。
「貴様…何者だ!?」
「俺の名前は風見志郎。お前等のような奴等を許せない男だ。」
「…やれ!」
 ドリルガーンの号令で、一斉に風見に襲いかかってくるチャップ達、風見はヒラリとその攻撃
 を避けてジャンプ、少し山になっている場所へあがってドリルガーン見下ろしたのであった。

「俺の本当の姿を…見せてやるぜ。」
「本当の姿だと?」
 風見は不敵に笑いながら変身ポーズをとったのであった。
「変身…ブイスリャー!」
 ダブルタイフーンが激しく回転し、風見は跳びあがる。同時に風見の体が緑色へと変化して
 いって、着地する頃には、赤い仮面、白いマフラーの戦士が立っていたのであった。
(父よ…母よ…妹よ…俺はまた戦う。仮面をかぶり、正義の戦士として……)
「き…貴様は!?」
 ドリルガーンは驚愕していた。目の前で、見知らぬ男がRXのような姿へと変身を行って見せ
 たのである。彼等は、他にも仮面ライダーがいる事を知らされていなかった。ジャーク将軍も、
 ゴルゴムの進攻時に表立って行動を起こさなかった10人ライダーの行方は探さず、ほうって
 おいたのであった。

「仮面ライダーV3!」
「仮面ライダー…V3…?」
(フッ…この名乗りをあげるのも久しぶりだな…)
 両肩のマフラーをなびかせながら、威風堂々と名乗るV3。ドリルガーンは、しばし困惑して
 いたが、邪魔者は排除するようにプログラムされていたので、チャップ達に、V3を襲わせた。
 山を上ってくるチャップの1人を蹴り落とし、V3は空高く跳躍する。
「とお!」
 そして1回転しながら下へ着地し、チョップで基地を建造する為に必要な機械を、次々と破
 壊していく。彼の目的は、敵を倒す事ではなく、人間達を守る事にあるのだ。その為m真っ
 先に機械を破壊し、安全を確保しなければならないのであった。
「これでお前達の計画は終わりだ。」
「我々の目的…変更!V3抹殺!」

 ドリルガーンの中で、プログラムが変更され、最重要任務がV3、”仮面ライダー”の抹殺へ
 と書きかえられたのであった。RXを敵と想定されていたドリルガーンは、同じ仮面ライダー
 の名を冠するV3を敵と判断し、攻撃を仕掛けたのだ。
「ファイア!」
 ドリルガーンは、両目からビームを発射し、V3を襲う。必死に攻撃を避けつづけるV3。一瞬
 攻撃がやんだのを見計らってジャンプ、反転して上へと立った。
(思い出すんだ。ドクトルGとの…カニレーザーとの戦いの時を…!)
 V3はデストロン大幹部、ドクトルGとの戦いの場面を思い浮かべていた。追い詰められたド
 クトルGは、遂に怪人体であるカニレーザーへと変身、決戦を挑んできたのであった。レー
 ザーを避けつつ、V3は必殺のキック技で勝利を収めたのであった。
(奴の特徴は初期のデストロン怪人と似ている…よし!)

「排除!」
 ドリルガーンの放ったビームがV3の足元を襲う。V3はジャンプして1回転、ドリルガーンの
 前へ立って目に向かってパンチで攻撃する。白いグローブから繰り出される強烈な一撃が
 ドリルガーンの両目に直撃する。
「V3パンチ!」
「ぐわあああ!?」
 ドリルガーンは視力機能が完全に破壊され、両手についているドリルをただ振りまわし、必
 死にV3に攻撃するが、無鉄砲な攻撃が通用するはずもなく、V3は空中へと舞いあがった
 のであった。
(カニレーザーを倒した…この技なら!)

 V3は数々の怪人達と戦い、葬り去ってきた。だが、彼も改造人間になったばかりの頃は、負
 けたり苦戦したりする事も多々あった。その中で現われた最初の大幹部、ドクトルG。彼との
 戦いは、V3を大きくレベルアップさせたといってよい。彼は今、生涯の宿敵であったろうドク
 トルGとの戦いを思い浮かべながら、それを倒した必殺技で、ドリルガーンを倒そうとしている。
「ブイスリー!きりもみ反転!」
 V3はドリルガーンの胸部に強烈なきりもみキックを放ち、表面装甲を破壊、ドリルガーンの
 内部は、地球とは違う技術で造られているので、よくわからない機械が埋め込まれていたが、
 それがあらわとなった。V3は反転して、更にもう一発キックを放つ。
「キイィィック!」
「ぐうう!?」
 V3の渾身の一撃が、ドリルガーンの体を貫き、ドリルガーンは地面に倒れこんだ。V3は警
 戒しつつも、ゆっくりとドリルガーンへと近づいて行くのであった。

「貴様は何者だ?一体誰に命令されてこんな事をした?」
「……」
 V3の問いかけに、ドリルガーンは何も答えなかった。既に機能を停止していたのである。
(また…戦いが始まるのか…いや、もう始まっているのかもしれない…)
 V3は言い知れぬ不安に心がいっぱいになる思いであった。人類に平和は訪れないのだろ
 うか?仮面ライダーの戦いに終わりはないのだろうか?
(本郷先輩達と連絡をとらなくては…)
 V3は、風見の姿へと戻り、本郷達に新しい敵が出現したかもしれない事を知らせる為、一
 旦街へとひき返そうとしていた。
「逃がさん…」
「!?」
 風見は慌てて後ろを振りかえった。するとそこには、機械で出来ている生命体が、銃を構
 えて立っていたのである。

「まさかRXの他にも仮面ライダーがいるとはな……」
「RX…?」
 風見は南光太郎とは1度も面識が無い。仮面ライダーブラックも、RXの事も、全く知らない
 のだ。だが、目の前に立っている男が、ただならぬ腕前の持ち主だという事は即座に理解
 出来たのであった。
「一応…名前を聞いておこうか。」
「……風見志郎。」
「風見か。残念だが……お前はここで終わりだ!」
 ガテゾーンの持っていた銃から放たれたビームが、風見の真横を通りすぎる。同時に風
 見は砂丘の影に飛びこんで攻撃を避けたのであった。
「チィ!」
 慌ててそれを追い、砂丘の影に入るが、そこには誰もいなかったのだ。慌てて辺りを見回す
 ガテゾーン。すると、上から少し、パラパラと砂が落ちてきたのであった。

「探しているのは俺か?」
 ハッと声が聞こえてきた上のほうを見上げるガテゾーン。するとそこには、赤い仮面のV3が
 彼を見下ろして嘲笑している姿があった。
「ハッハッハ…この程度でうろたえるようじゃ、お前の組織もたかが知れているな。」
「なに!?」
 ガテゾーンはV3に向けて銃を乱射する。たった2人しか存在しないその空間に、いくつもの
 銃声が木霊し、砂が舞いあがって雨のように降りそそぐ。
「V3キック!」
 銃を華麗にかわしながら、ガテゾーンにV3キックを放つV3。それを両手で防御するも、思
 ったより強い力にあとずさりを余儀なくされるガテゾーン。
「くっ…仮面ライダーブラックと同等…あるいはそれ以上だな…」
 ガテゾーンはV3の戦闘能力を、自分自身ではかろうとしていた。そして、光太郎の以前の
 姿、ブラックと同等程度の力だと認識したのであった。

「どうした?もうギブアップか?」
 両膝をついて沈黙しているガテゾーンを見て、V3がそんな事を言った。が、ガテゾーンはゆ
 っくりと立ちあがって銃をクルクルと回して腰にしまった。
「どうやら…俺自身が戦う程の男じゃあなさそうだ。」
「なに…?」
 ガテゾーンは右腕をあげて、パチンと指を鳴らした。すると、さっきまで機能を停止させてい
 たドリルガーンが再び起きあがり、光りに包まれたかと思うと一瞬で姿をまがまがしく進化させ
 たのであった。
「せいぜい頑張ってくれ。」
 そう言った直後、砂が嵐のように吹き荒れ、一瞬V3の視界を遮ったかと思うと、もうそこには
 ガテゾーンの姿はなかったのであった。
「くっ…逃がしたか。」
「ぐううう…!」

 V3は振りかえり、進化したドリルガーンと向き合った。V3の顔を見て、何かを思い出したか
 のように、両腕のドリルをミサイルのように発射するドリルガーン改。V3は跳躍して、先程と同
 じようにドリルガーン改をしとめようと思ったのだが、横から凄まじい風に襲われて、地面へと
 落下していったのであった。
「くっ……誰だ!?」
 V3が目をやった方向には、黒いマントを羽織った怪しい男が立っていた。それはマリバロン
 直属の兵士、ガイナウインであった。
「作戦の邪魔はさせない!」
 ガイナウインは口から風を吹き出し、その風があたりの砂を巻き上げ、V3の視界を遮り、そ
 の隙にドリルガーン改がドリルミサイルを連続で発射し、その中の一発が肩をかすめた。
「ぐう!!」
 痛む右肩を抑えるV3。だが、風はいつまでも止む事無く、また、ドリルミサイルも次々と、様
 々な場所から発射されてくる。
(奴等のコンビネーションには隙がない…だが……)

 V3は抑えていた手をはなして大声で叫んだ。
「ハリケーン!」
 V3に呼ばれて、何処からともなくハリケーンが現われ、砂塵を突きぬけて彼の元へと到着。
 V3はそれにまたがり、一気に砂塵を突き破って行ったのであった。
「馬鹿な!?」
 驚くガイナウインに突撃して行く青いマシン。車体を持ちあげ、前輪でガイナウインへと突撃
 するハリケーン。ハリケーンのスピードが空気を斬り裂き、ガイナウインの強風をものともしな
 いのだ。V3も、幾多の激戦をともに戦ってきた最高のパートナーを信頼していた。
「ハリケーンジャンプ!」
 そしてそのまま前輪でガイナウインに体当たりを決めこみ、直後に跳躍、両翼の白いマフラ
 ーをなびかせながら、ガイナウインへと降下して行く。

「ブイスリー!」
「ぐうう!?」
 V3は1度ガイナウインの脳天にチョップを放ち、反転して更に右手を振り上げる。
「ダブルスカァァァアアイ!チョオオオップ!」
 二発目のチョップがガイナウインへと直撃し、ガイナウインは頭を抑えながらヨロヨロと歩き、
 やがて爆発して果てたのであった。
「くっ!残るは…あいつだけだ!」
 絶え間なく降り注ぐミサイルの嵐、V3は再びハリケーンに乗って、その弾丸の中を突っ切っ
 ていく。凄まじい爆発音があたりに響き渡り、砂が舞いあがりすぎて、あたりが暗くなる程で
 あった。
(奴のドリルは一定のスピードで放たれている…その隙をつくんだ。)
 V3はプロ顔負けのバイクテクニックを駆使して、確実にドリルガーン改へと接近して行く。
(もう…俺のような人間が増えない為にも……倒す!)

 V3はハリケーンからジャンプ、そこにドリルミサイルの嵐が襲いかかるが、V3は軽やかにド
 リルミサイルを避け、1回転しながらドリルガーン改へと急降下して行く。
「ブイスリー!」
 そこから急速にスピンするV3、そこへドリルミサイルが打ち上げられるが、V3のスピンによっ
 て、ミサイルは次々に撃ち落されて行く。
「フル回てえぇぇぇえん!キィィィックッ!」
「!!?」
 ドリルガーン改は、V3のドリルのように回転する、フル回転キックによって、今度こそ体を粉
 々に粉砕したのであった。響き渡るドリルガーン改の爆発音。
「終わった…か。」

 風見は苦戦の末に怪人を倒した喜びと、新たな組織が現れた事による怒りと悲しみが同時
 にこみ上げてきているのであった。だが、彼は戦いつづける。自らが望んだ事だから…風見
 志郎は戦い続けるのである。その身が滅びる日まで…
「……俺は戦う。俺はまだ…死ねないからな……」
 この後、彼は他の9人の仮面ライダーと合流、RXを助ける為に日本へと向かうのである。
 風見志郎は改造人間である。父と、母と、妹を失った悲しい傷は、決して癒える事はない。
 だが、その怒りと悲しみを、正義の心という力に変えて、今日も仮面ライダーV3は、世界の
 何処かで、悪と戦いつづける。負けるなV3!負けるな風見志郎!世界に平和をもたらす
 その日まで!

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